会員向けレポート
このページでは、毎週金曜日、会員の方々に「実銭チャート指南」とともにお送りしているレポート「相場展望」を公開しております。
相場展望・金曜版:平成28年9月1日号「石が浮く相場」
7/14に発表となったユニクロの決算は純利益が前年同期比46%減でした。通期の業績見通しも下回り59%減の450億になると発表しました。しかるにこの日を境に株価は上昇、7/6安値25305に対して8/9高値38250まで底値から1.5倍も上げました。減益は先に織り込み済、リターン・リバーサルの買いが入ったと説明されました。8/5に発表となったトヨタの決算も同様です。前期比44%減でした。想定為替レートを105円から100円、年間を通しても102円に変更したその位の理由で株価は発表直前の安値8/3 5520から8/8 6069まで買われました。利益が半分近くなる会社はどんな屁理屈をつけても上がってはなりません。まるで石が浮いて葉が沈むような相場です。
日銀はETFの買いを年間3兆円から6兆円に増額すると発表しました。ヘッジファンドはこれによって225銘柄でその寄与を受ける株のベスト3をユニクロ・ソフトバンク・トヨタと予測しました。石が軽石のように浮かぶのはこのETF買い増額が支援するというのです。8/2と8/3は347億づつの買いでしたが、8/4は707億8/10も707億の買いをしました。8/4は海外が安いので、前日16083の引けに対して16168で寄せる荒業、8/10は海外は小幅安程度でしたが、 前日16764の引けに対して16699で寄せ16735で引かせました。8/10にPKOをする必然性はまったくなく、企業実力と株価はますます乖離する一方です。この日以降は日銀がETFを購入していないのにかかわらず下値ではヘッジファンドの買戻しが目立つ相場となりました。
葉の沈む方の典型的銘柄は4528 小野薬品です。新しい制癌剤オポジーボは海外で圧倒的支持を受けているのに、日本では厚生省とNHKが結託して健康保険を破壊するなどいうバカなキャンペーンを張っています。正当な株価評価を受けるならば1万円以上してしかるべきなのに、競合薬もないのに、薬価引き下げを促しかねないとして売られ、自然治癒力に頼る薬なのに、体力衰えた末期肺がん患者への臨床試験に失敗したとして売られ、さらに小野薬品株を持つ、第一三共・愛知銀行・日清食品の3社に661万株も売り出しを促しました。浮いてこようとしてる葉っぱを石を投げて押さえつけるようです。
こんなマーケットではまともな人々に敬遠されてしまいます。