相場展望~くじらは池では・8月18日号
債券市場の規模は株式よりはるかに大きいですが、債券王と言われたビル・グロスの人気でピムコに資金が集中しずきると思うような運用成績が上げられなくなりました。人気のヘッジファンドが突如顧客のお金の返還をしだすのも、同じ理屈です。思ったようにリスクを取りたくても取れなくなるゆえに、ソロスファンドは自分の一族分以外を返金しました。
当初は中国の外貨準備のうち2000億ドル(21兆2千億円)の運用を受け持っていた政府系ファンド、中国投資(CIC)は国有商業銀行の株式保有などを通じ15年末の総資産は8100億ドルまで膨らましました。2015年の海外投資部分の運用利回りが2.96%のマイナスになったと発表しました。運用成績がマイナスになるのは11年以来、4年ぶり。ドルの上昇で他通貨建ての投資に為替差損が発生したほか、米国や英国、新興国の多くで株式相場が振るわなかったのがその理由とされますが、公表していない欧米の不動産投資のマイナス分を入れると少なくとも15%以上は毀損しているはずです。
GPIFは安倍政権になって運用成績が格段によくなりました。23年度2.32% 24年度 10.23% 25年度 8.64% 26年度 12.27% という具合で20年度 -7.57% 21年度 7.91% 22年度 -.025% の民主党時代と比べれば雲泥の差です。
黒田バズーガがいかに効力を発揮したかですが、最近はNY偏重の運用に苦杯を飲まされています。国内の保有株トップは、トヨタ以下三菱UFJ三井住友・ホンダ・ソフトバンク・NTT・みずほ・KDDI・ファナック・キャノンと225銘柄が続きます。罫線の崩れていないのはNTTとKDDIだけで、他は天井を打っています。海外株の保有トップはアップルでこれは当初の125$平均からみると大きく毀損、マイクロソフトとJ&Jは好調で転売して穴を埋めて欲しいとはた目には見えます。ソフトバンクとファナックの上げに頼りすぎ、シェールオイルブームでエクソンを増やすなど、焦りも感じます。
5匹や7匹のくじらと誉めそやされた時が運用のピークであり、134兆円という巨体は長期投資という言い逃れをしない事にはうまい運用はできません。くじらは所詮池では何匹も生きてはいけず、シャチのエサになります。