相場展望~メルツェルの将棋指し・3月31日号

相場展望~メルツェルの将棋指し・3月31日号

最高の評論家とされる小林秀雄氏のエッセイにメルツェルの将棋指しというものがあります。将棋といっても西洋将棋のチェスであり、ロボットが次々と対戦相手を打ち負かします。実はロボットの中にトルコ出身のチェス名人が入っていて、一般のチェス好きでは勝てないと明かしています。

チェスは盤面が8×8の64、ディープブルーというスパコンはカスパロフという稀代な名人に勝ちました。将棋は盤面が9×9の81しかも、とった駒を自分が使えるという複雑さですが、名人竜王クラスには勝てませんが6段クラスには勝ち越せるレベルとなりました。碁は19×19の361ですので、コンピューターは勝てないとされてきましたが、韓国のイ・セドル九段に4-1で勝ちました。定石や定跡の言葉があるように、将棋も囲碁もある程度まではパターン認識のゲームです。コンピュータに勝つには今までにない局面に誘導したり、敵陣に入った駒が効力を増さない成らずとか、捨て石の連続などが有効と私は考えます。詰将棋や詰碁のような局面になれば勝つ事は不可能ですが、曖昧模糊とした混沌とした局面で差をつけるのがコツなのです。

アメリカでもコンピュータによる高速取引に対して規制をすべきという議論がようやく真剣になされるようになりました。米国株式は原油相場とパラレルに動くようにセットされており、日経平均はドル円相場とパラレルに動くようにプログラムされています。コンピュータの注文は1秒間に4度以上もされるのに、私たちは見ている事しかできません。最初から平等な土俵には立っていない勝負なのです。毎日100$以上の上下や300円近い上下が経済実態とは関係なく常態化しています。東証を牛耳る財務官僚は市場の繁栄の意味をはき違えています。この馬鹿げた状況を止めないと、投資家がこのままではメルツェルの将棋指しに辟易として参加しなくなる日がいずれまいりましょう。

© 株式会社プラザ投資顧問室 1981 All Rights Reserved.