相場展望~超限戦
平成26年10月16日号(相場展望~超限戦)
株式相場が急落する時は、一般にリスクヘッジ手段として金が買われます。しかし金価格は低迷したままです。この最大の理由はリーマンショック後に自国の金融機関を救済する為に諸外国から預かっていた金を貸し出し、それが1000$近辺で売却されてしまった為です。アメリカはドイツからの金の返還要求に対して直ぐさま返せませんでした。アメリカとしては金の価格下落を1000$割れまで誘導し、そこで買い戻すつもりです。もう一つ商品市況で不思議なのは、イスラム国の台頭で中東油田地帯が危うく、さらにその資金源を断つという名目でシリアの製油施設を爆撃したのに、原油価格は下落を続けています。金と原油の価格を低下させているのは、それがロシアの主力輸出商品である為です。株式市場のコントロールに比べ、1/20や1/50の資金で操作できる金や原油の価格低下はアメリカにとって造作もない事なのです。
ロシアも負けていません。アメリカは株式至上経済であるので、その株式の下落を欧州のヘッジファンドなどを使い仕掛けている節があります。10/1はNYダウは238$安、翌日の10/2日本は420円安でした。10/2と10/3の先物手口ではバークレイズの売りが突出していて、10/26981枚・10/39603枚の売りでした。10/9はNYダウは335$安、翌日10/10の日本は178円安でした。先物手口ではモルスタ(三菱系)の7640枚売りが突出していました。おそらく同じような手口が米国でも見られたはずです。通説ではグローバルマクロ系のヘッジファンドの売り仕掛けとされますが、その裏にはロシアマネーが動いています。ロシアには米国の内情知るスノーデンが参謀役としています。先物を効果的に使い売り崩しているのでしょう。日経平均は日銀のETFの買いや、年金を使ったPKOが頻繁に行われましたように、米国でもリーマンショック以降は株価PKOチームが結成され、5年間月足二段下げがない不自然な相場が演出されてきました。国家が買い手では、なかなか売り方が勝つのは容易ではありませんが、国家の売り手が出てきたら、その額は桁違いですので、勝つ事はできないのです。
中国の情報将校である喬良と王湘穂の二人が2001年に書いた超限戦という本には、現代の戦争はドンパチをやるホットウォーだけでなく、パソコンウィルスを撒く、ハッキングする、情報操作をするなど様々な手段があるとされましたが米露が今、行っている事はまさに超限戦なのです。