相場展望~ビットコインを破壊した者
平成26年3月13日号(相場展望~ビットコインを破壊した者)
2013年3月にキプロスで金融危機が発生しました。キプロスに大口の預金をしていたロシアの人々は、一斉にビットコインに殺到し、1ビット当たり60$であった相場は一気に180$となりました。2013年の6月頃から中国の理財商品の焦げ付き問題が出だすと、中国国内のビットコイン取引は活発になり、世界の1/3の占めるほど巨大な市場となりました。人民元を売ってドルや円へ資産を移す人々が急増しました。ビットコインの相場は一気に1100$へと駆け上がりました。
ビットコインは人民元の最大の脅威と感じた中国人民銀行は金融機関のビットコインの取引を禁止にし、ビットコイン相場は一気に500$近くへと下落しました。人民元を自由に他国通貨に換えられない中国の人々の人気は衰えず、ビットコイン相場は900$まで再上昇します。その後は理財商品の救済処置が起きると下落するという一進一退の相場が続いていましたが、同時期に世界最大のビットコイン取引所である東京のマウント・ゴックスがウィルス攻撃に合い、すべての取引の停止に追い込まれました。
ウィルス名は『ポニー』と言い、仮想通貨ビットコインを不正に取得するもので、10万台のコンピューターガ感染、オンライン上の財布であるウォレットが85個も盗まれました。この時点で74万ビットコインが既に失われました。マウント・ゴックスはついに取引所破綻と破産宣告を出しました。その後も中国人の移民の多いカナダの取引所が閉鎖に追い込まれ、シンガポールの取引所経営者は謎の自殺を遂げています。
一連の犯人は基軸通貨ドルを脅かされたアメリカないしアメリカの銀行関係者の仕掛けた事と最初は考えましたが、ビットコイン程度の額では基軸通貨ドルは揺らぎもしません。犯人はズバリ中国です。それはビットコインの発案者とされる日本人サトシ・ナカモト氏にすべての責任を押し付けようと画策した報道姿勢にあります。ビットコインはウクライナ危機後も500$から600$へ上昇したように、新興国経済危機に金と並ぶ最大のヘッジ手段です。自国通貨に最大の信頼を置けない者にとっては、金に比べれば換金性が容易であり、送金スピードも桁違い、送金コストもかからない三大利点があります。国際金融においてはトレレンマがあります。為替の安定と独立した金融政策と自由な資本移動の3つは同時に満たされません。人民元は自由な資本移動を禁じて守って来たものを破壊される事を恐れたのです。