あれから38年・10/29号

あれから38年・10/29号

(相場展望~あれから38年) 2015年(平成27年)10月29日号

1987年にブラックマンデーが起きた直接の原因はドイツの利上げでした。当時アメリカは高金利政策をしていて、それによって米国債に資金を集中させていました。それがドイツの利上げによって、資金がドイツに向かう事になり、それがプログラム売買の売りを誘発しました。

綾小路きみまろの漫才ではありませんが、あれから40年いや38年あまり経つと、正反対の環境に置かれてます。アメリカは人民元切り下げによって米国債への資金流入を促す事にさらに成功しました。中国こそ通貨防衛の為に27兆円(2290億$)のドル売り元買い介入をしましたが、元の切り下げによって自国通貨が割高になった他の国々は通貨防衛の為にドル買い・自国通貨売り介入を強いられたからです。40年前と違って今はインフレでなくデフレと各国が戦っています。金利引下げ競争が世界で蔓延する中、米国が金利をどこかで引き上げる意向を示しただけで、ドルへと資金は流れます。ユーロ危機もアメリカが演出した可能性すらあり、それは米国債買いへと資金が流れます。中国を始めとするBRICs諸国の危機も米国債を逃避先として作用します。金利を上げるとほのめかしながら上げないそれは米国にとって最良の環境でもあるのです。米国債以外の逃避先はスイスフランと日本円ですが、債券市場の許容量の大きさでは米国債には敵う事はできず、ドルという基軸通貨を脅かすには至りません。

昨年10月31日、日銀は不要とも思われる追加緩和を敢行しました。その最大の目的は中国による米国債売りの受け皿を日本が受ける事にあり、次いで誰もが望まぬ消費税10%への増税への布石作りにありました。日銀の政策は独立性があるというは嘘で、政策決定会合をFRBのそれの数にあわせ、変更を必要とする時はFRBの会合の後に会合日を設け、そうでない時はその前にするという従順さです 今年は米国が円は通貨実力が見れば割安という発言を高官がしているので、黒田バズーガ第三弾は期待できず、あってもインパクトに欠ける内容となりましょう。

 

 

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