歴史の逆襲
歴史の逆襲 2021年11月11日号
歴史は勝者が都合の良いように書き換えられるものです。昨年のNHKの大河ドラマ「麒麟が来る」では、秀吉に長年逆賊として貶められた明智光秀を智将名将としてクローズアップしました。ルイス・フロイスの証言によれば、光秀の坂本城の天守閣は、信長の安土城の天守閣同様黄金の丸いものであり、それは信長第一の家来である証であり、
朝倉義景攻めの時、挟み撃ちから逃れる為の殿役を光秀が務めた時から信頼の度合いが違うのです。第一の家来だからこそ、最初の城持ちとなったのです。明智光秀の末裔の方が書いた「本能寺の変・431年目の真実」を読めば分かりますが、茶会の名目で徳川家康を筒井順慶・明智光秀と共に呼び寄せ、演出として家康の饗応役を解かれた光秀を同席させる事で安心させながら、家康を討ち取る事を光秀に命じましたが、子孫の行く末を案じた光秀が、信長を討ったという事が書かれています。家康はこの恩義があるからこそ、明智光秀の重臣であった斎藤利三の娘福を春日局とし両方の名をとった家光の乳母とし、日光に明智平の地名、さらに護持僧天海も光秀に近い人物です。
今年の大河ドラマ「青天を衝け」では明治維新は司馬遼太郎が賛美するようなものでなく、既に幕末体制が終焉し、挙国一致で近代化を進めようとしていたのにかかわらずも主導権を握りたい薩長が起こしたテロであるという事実を示しています。明治維新によって日本が近代化に成功したというのは勝者が作った歴史であり、正確ではありません。私たちの多くは司馬遼太郎が書いた「竜馬が行く・花神・翔ぶが如く・坂の上の雲」が正しい歴史と錯覚していますが、天皇と共に殉死した名将 乃木希典を評価せず、秋山好古・真之兄弟にスポットを当て、日露戦争に勝利した事を誇張するはあくまで小説です。司馬遼太郎は誤った朝鮮史観もあり、日韓併合を否定し、それがロシアから守る為だったという分析を排除し、それが廻り回って河野談話につながった歴史小説家としての責任はあまりに大です。