相場展望~豊かな国・貧しい国・12月29日号
今年は二度大きな下落がありました。一度はイギリスがユーロから離脱したBrexitの時、もう一度は米国大統領選にトランプが当選した時でした。いずれも短期急落し短期急騰しました。株式希薄化がもたらしたのです。その共通点は没落する中産階級のグローバル化への怒りでした。グローバルとは国境をなくすという意味ですが、それによって貧しい国からは豊かな国へと高い賃金を求めて出稼ぎ労働者や移民が押し寄せます。豊かな国から貧しい国に居を移そうとする人はいませんが、グローバル企業は安い労働力を求めて、豊かな国から貧しい国に生産拠点を移してしまいます。そして作った商品を豊かな国で売ってその差額を儲けようとします。
その両方のしわ寄せが中産階級の没落という形となります。今まであった工場が閉鎖されてレイオフとなり、さらに安い賃金でも喜んで働く移民が流入する事でワンランク下の残っている職業まで奪われてしまいます。トランプが不法移民が流入するメキシコとの国境に万里の長城を作るのは良い事となります。フォードのミシガン工場のラインをメキシコに移すのはけしからん。空調大手のキャリア社のインディアナ州工場を閉鎖してメキシコに移転するのはけしからんとなります。
貧しい国で一番グローバル化の恩恵を受けたのは中国でした。ユニクロを最初に生産拠点をGM・日産・鴻海と次々移しました。その恩恵を受けた人々はあぶく銭を片手に爆買いと日米欧の不動産を買い漁りました。最近は神から受けた恩恵を自分の手柄と錯覚して、賃上げしなければ働かない。工場移転するなら補償金出せとすごみます。いずれ誰も相手にしなくなり貧しい国に逆戻りするはずです。それは今中国の生産拠点代替地として勢いのある東南アジアやバングラデシュについてもいえる事です。
アメリカやイギリスだけでなく反グローバルの波は他の国にも波及します。イタリア・オランダ・フランス・ドイツと選挙があるたびに反グローバル政党が実権を握りましょう。株式相場はそのたびに津波をかぶります。