相場展望~10年で1兆$・12月1日号

相場展望~10年で1兆$・12月1日号

日欧はマイナス金利と国債などの資産買い入れ策導入、アメリカはQEをやめても1度しか利上げができません。各国とも金融政策は限界にきています。トランプ次期大統領の15%への法人税減税と10年で1兆$のインフラ投資という二つの財政政策を打ちだしのは理に適っています。さらに海外に2兆$も貯め込んだ資金を米国に還流させる際には法人税は10%にする。貯め込んだままなら10%さらに課税するという策でドル高が急速に進みました。インフラ投資は財政を悪化させるだろうという予測で金利は急上昇です。

ブラックマンデーが起きたのは1987年でしたが、この年は1月に7%だった長期金利が4月に8%、9月に9%、10月に10%になりこれが暴落のきっかけでした。1985年にはプラザ合意がされ、日米英独仏でドル高是正をしましたが、円は1$が250円だったが1987年2月には150円になり、さすがに想定以上の下落でしたので、今度はドル安是正のルーブル合意がされました。これによってアメリカは金融引き締めに動き、それが7%から10%への利上げとなります。今はこんな金利水準は望むべくもありませんが、7月に1.4%まで低下していたアメリカ10年債は、大統領選挙の開票前は1.85%になり、さらに2.35%まで上昇しました。ブラックマンデーの年の金利変化率は1.42倍ですが、今は1.68倍です。いくら低い水準とはいえ、危険な上昇です。

市場は政権がスタートする前から金利が上がると決めつけていますが、トランプのアドバイサーのウィルバー・ロス(商務長官に有力)とピーター・ナバロは国債発行に依存しない方式を明示しています。それは道路・上下水道・空港すべてのインフラ投資は民間企業にさせ、そして将来そこから上がった使用料で民間企業が十分に潤う仕掛けです。民間企業は社債を発行して資金を調達しますが、それが円滑に進むように政府が支援するというものです。現にアメリカの刑務所はクリントン政権の時に赤字削減の為に民間会社に委託され、今も運営されています。これと同じ事をインフラ投資でしようという発想です。アメリカにはベクテルのような巨大な建設会社がありますから、日本のゼネコンの活躍の余地は少ないかもしれませんが、日本の高いインフラ整備技術は定評があり、プラント会社の受託は十分ありましょう。

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