相場展望~角を矯めて牛を殺す・11月2日号

相場展望~角を矯めて牛を殺す・11月2日号

牛は攻撃をする時に角を下から上へ突き上げますので強気相場の象徴です。熊の攻撃は爪を上から下へ降り下ろしますので弱気相場の象徴とされます。日本のことわざなどでは牛は良い例えの場合が少なく、牛を馬に乗り換える。牛に対して琴を弾ず。風する馬牛も相及ばずという具合に使います。国会の採決を遅らせるだけの目的の牛歩戦術も良い印象はありません。

今の日銀の行き過ぎた資産買い取り姿勢はマイナスにしか作用しなくなりました。銀行や生保がまともに買えない位国債を購入し、世界的に突出して高くなっているREITの買い入れ、株式相場を硬直化させただけの日銀の株式ETF6兆円の買い入れ。いずれも景気を良くしようとして反対の結果となっています。角を矯めて牛を殺す相場にしてしまいました。

本来は大きな政府よりも小さな政府が理想です。政府・行政の規模・権限を拡大はすべきではありませんが、経済危機が増幅する都度、政府の介入は増え続けました。株式相場も不介入が理想なのに、下げると株価買い支えに本来は使用してはいけない年金まで繰り出し、世界の中央銀行では稀有な政策である株式ETFの購入という資産買い入れ策を打ち出し、さらにその額を3兆円から6兆円へと増額しました。相場を主導していたヘッジファンドは小刻みに売っても効果がないと考え、売る時には一気にという戦略をとった結果毎日日中値幅が少なく、牛歩のように少しづつ上がる相場となりました。10月は12・13日の184円安・66円安以外下げらしい下げはなく、10/14の707億買い入れはさもありなんというものでしたが、10/24と10/26の両日707億買いは介入理由が考えられないものでした。その理由を探ってみると、このまま介入しないと年度末までに介入予定額を消化できない為という信じられぬ返答がありました。

師走の忙しい時や新年度を迎える前の引っ越しなどが多い3月に公共工事が集中するのは、予算配分を受けた地方自治体が予算を消化しないと来年度の予算を取れない為ですが、それなら消化しなかった予算は国に返すのが常識というものです。公共工事は景気下支えの為に必要不可欠なものですが、そこには新幹線延伸とか経済効果が十分考慮されたものでなければなりません。消化の為だけにETF買いをする、まさに角を矯めて牛を殺す相場です。

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