相場展望~円高は本来国益・10月6日号
国の懐具合が悪くなるとどこの国も、通貨安政策をとります。基軸通貨国のアメリカはプラザ合意によって、半分以上の通貨切り下げをしました。ドルペッグ制を解こうとしない中国は平気で人民元切り下げをします。日本や欧州はマイナス金利導入で通貨安を狙いました。
経済が正常な状態においては、ルービンが言ったように、強いドルは国益に適うのです。今は通貨安イコール株高がプログラムされていますから、強い自国通貨は国益に適うなどという人はいなくなりましたが、自国通貨が信用されず、多めのお金を払わないと輸入ができないのは本来不利な事なのです。日本の場合は海外の原料を輸入し、それを加工し国内販売をしたり、輸出する企業が大半なのですから、円高は本来好ましい事であるはずですが、GDPの9%しか占めない輸出企業が新聞・テレビのコーマシャルの大スポンサーなので、広告収入減る事を恐れるマスコミが、少しくらい円高になっても大減益要因という大合唱をするのです。
債券高・株高・円高のトリプル高と言われた時代がありました。海外から安全で成長すると評価される国の株・債券・通貨は同時に高くなるのです。為替介入というと、今は円売りドル買い介入しか思い当たらないかもしれませんが、橋本内閣の時は米国債を売って、金を買いたい欲望にかられると発言し、実際に円買いドル売り介入をしました。この事件がきっかけで橋本内閣には辞職に追い込まれました。そして円高イコール株高でなく、円安イコール株高という詐術がこれ以来使われたと私は考えています。東日本大震災で苦しむ日本に対して、まるで傷口に塩を刷り込むような円高になるのは、理に適うはずがありません。