相場展望~ABCD瓦解・8月4日号
1930年代後半に対日経済封鎖としてABCD包囲網が敷かれました。「ABCD」とは、貿易制限を行っていたアメリカ合衆国(America)、イギリス(Britain)、中華民国(China)、オランダ(Dutch)各国の頭文字を並べたものです。満州事変・盧溝橋事件を通じて、中国が盛んに対日制裁を各国に求めました。アメリカは孤立主義の立場から封鎖に反対でしたが、世界恐慌で不足していた資金を補うのを主目的として対敵通商法の適用をしました。
当時は金本位制であり日本政府の為替決済用在外資産はニューヨークとロンドンにあり、ニューヨークの日本政府代理店(横浜正金銀行)には1億ドルの金融資産がありました。対敵通商法は敵性資産の没収を規定しており返還はされない性質のものでした。スイスのプライベートバンクが大金持ちの隠し資産を本人が死去すると没収する事が多いように、法律を作って泥棒するのは欧米のよくある手法です。
かつてのABCD包囲網の味が忘れられず、中国は反日戦略としてアメリカやイギリスに擦り寄る事を常にしてきました。Brexitで辞めてしまったキャメロン首相もオズボーン財務大臣もパンダハガーでした。AIIBの参加に欧州で真っ先に手をあげ、非礼の習近平をエリザベス女王に謁見までさせました。中国はイギリスを使い欧州市場への参入を試みていましたが双方の目論見は頓挫、中国は次にドイツへと鞍替えしましょう。中国家電大手美的集団がドイツの産業用ロボット大手クーカへのTOBを仕掛け38.6%を持つに至りました。クーカの大口顧客アメリカの防衛大手ノースロップ・グラマンからこのM&Aには反対拒否がされる可能性は高いと考えられます。
今年も米中戦略対話が6/8に開かれましたが、来年からはクリントンが大統領になっても、トランプがなってもなくなります。オバマ政権の最大の負の遺産は中国を甘やかし、野放しにした事です。最初は日本と同じようになると考えていましたが、国際法は無視、中華思想に基づいて、南沙諸島を埋め立てる、人民元のSDR入りをしても切り下げを行う、AIIBを作り、金取引を元建てにせよと言い始める。6/12にオランダのハーグの仲裁裁判所は九段線の法的根拠はなしとして、ついに中国は孤児となりました。
かつてのABCDのDのオランダに代わり、ドイツ(ドイツ銀行問題)を入れると株式市場瓦解の引き金をひく国々の頭文字となります。中国の本当の債務は3000兆ありもはや処理はできないレベル、イベントのたびに売られる日本と正反対に買われるNY市場は世界一割高となっています。