相場展望~Brexit・7月28日号
イギリスがEUを脱退することからBritish+exitの造語としてBrexitが作られました。EU離脱の根源は急増する移民への拒絶と、ユーロ・EUをドイツ帝国が自分の論理で統治した事への反発です。アメリカの大手調査会社のアンケートでは、EUを支持しない比率は、ロシアに対して不信感が強い東ヨーロッパ諸国のハンガリー・ポーランドでは低いものの、ギリシャでは71%・フランスでは61%、スペインでは49%、そしてドイツにおいても反移民感情から48%もあります。イギリスと同じように国民投票をすれば同じような結果が出る国が増えましょう。そして出ていく国は反ロシア感情が薄れ、NATOも不要といずれ、考えるようになります。
イギリスが離脱により孤立する事はありません。まるでこの結果を予期したように、カナダ中銀総裁カーニーをイングランド銀行の総裁据えたように、オーストラリア・ニュージーランドなどの宗主国として今なお影響力はあります。同じ英語圏であるアメリカも欧州の橋頭保イギリスを必要としています。デフレの国に緊縮財政を押し付けるドイツは、日本の財務省と同じで、財政均衡論は誤った経済政策として反旗を翻す国が増えましょう。
次に起きる事はPIGS諸国の国債危機の再発です。ユーロという単一通貨さえ採用しなければ、ポンドが売られたように、自国通貨安によって景気の浮揚は容易だからです。イタリアが国民投票に動いた場合はユーロ採用国だけにEUの瓦解に拍車をかける結果となります。イタリアよりユーロに魅力を感じていない、ギリシャ・スペイン・ポルトガルなどは背中を一押しする者が現れれば、いつでも飛び出ていきます。とりわけ資金繰りの厳しいギリシャは、Brexitに触発された事は間違いありません。
IMFがドイツ銀行に業務改善命令を出したのは、ドイツ銀行のかかえる75兆$のデリバティブの一番の不安要素であるギリシャのCDSを一手に引き受けた事への破綻懸念からです。ギリシャの離脱はドイツ銀行の破綻につながります。