相場展望~アメリカの真実・5月26日号

相場展望~アメリカの真実・5月26日号

戦前の日本は独自の情報網を持っていました。同盟通信社は主要各国に特派員を置き、自らの目耳で得た情報を日本にもたらしました。戦後同盟通信は解体され、ロイター・AP・UP・AFPからの情報の垂れ流しをする共同通信と時事通信が作られました。以来四大通信社の金太郎飴の切り口のような情報が垂れ流されています。反主流派と言われるトランプが貧しき白人たちの圧倒的支持を得て独走しています。アメリカはリーマンショックを克服して、景気が良くなっているという情報をまずは疑ってみる必要があります。

4月の雇用統計は16万人増加止まりでした。3月までの米雇用統計はおおむ良好な状況で、非農業部門雇用者数は前月比で20万人増のペースを守っていましたが、3月末までの大企業の倒産件数は46社と記録的な高さです。破綻した企業の多くは地方の大企業で、最初の3カ月で破綻件数が46社というのは、リーマンショック以来です。

S&P500の優良大企業の収益も悪化の一途です。USAツデーによれば2014年のピーク時に比べ、収益は18.5%も減少しています。様々な統計数値は米国商務省の発表するものから得られますが、それらを分析する限り、もう一度利上げができるようなものにはとても思えません。ISMの製造業指数は低迷を託ったまま、金融に4割を依存する見せかけの財布の国です。

大企業の発行する社債の格下げも相次いでいます。スタンダード・アンド・プアーズによると、S&P500の企業の社債の格付けは平均して「BB」です。これは企業が期日通りに債務の返済が困難となる可能性があることを示しています。ごく一部のプレミアム企業を除けば、多くの会社は社債で調達した資金で業績を繕っています。株価が下がると社債の格付けもさらに下がるので株式を買い支える為にさらに社債を発行するという自転車操業に陥っているのです。こんな状況で利上げでもされたら、資金調達コストがさらに上がり、倒産するところが続出するはずです。

トランプがTPPなどすればアメリカは苦しくなる、米軍駐留経費はすべてもってくれなくては困ると吠えまくるのは、ある意味で米国経済の真実を伝えています。トランプが有力になればなるほどバレたら困る売りがでてきます。

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