相場展望~財政政策欠如・5月19日号

相場展望~財政政策欠如・5月19日号

1/29に日銀がマイナス金利政策を導入する前、私は付利の引き下げを予想していました。付利とはリーマンショック後、貸し出し先のない銀行に対して日銀の当座に預ければ0.1%の利息をつける事です。マイナス金利導入前日銀の当座預金には、倒産した時の備えの法定準備金として利息がつかないものが88兆円、0.1%の利息がつくものが162兆円ありました。付利は日銀から市中銀行への利益供与です。付利をつけた分貸し出しが増えると考えたのに、内部留保が350兆円もある大企業は借りる必要はなく、消費増税などで苦しんでいる中小企業には貸さずに、国債の利ザヤトレードに終始しました。

0.1%のマイナス金利導入後も、162兆円分には今まで通り付利がつけられ、250兆円を超過した分にだけマイナス金利を適用しました。このペナルティを払ったのは53%がゆうちょ銀行、残りの大半は信託銀行でした。信託銀行には、運用難のマネー・リザーブ・ファンド(MRF)から資金が流入したため日銀への当座預金を積み増し、金利負担が生じました。日銀は2週間後の政策決定会合で、MRFの受託残高と同額を信託銀のマイナス金利適用残高から差し引くことを決めました。付利を残したままのマイナス金利政策は中途半端であり、融資業務に不慣れなゆうちょ銀行に負担が集中し株価も下げる事になりました。

マイナス金利政策とは市中銀行から日銀への所得の移転です。資金を吸い上げ何もしなければ、デフレ要因となります。大切なのは吸い上げた分以上の財政出動をする事です。財政出動は減税と公共投資の拡大です。これに真っ向から反対し妨げいるのが財務省です。消費増税を求め、財政均衡主義で公共投資を増やそうとしません。日銀が国債を買い取るのも間違った政策ではありません。欠けているのは市場に売却しないと明言する事です。日銀の国債の金利収入は政府に編入されます。本来債務であったものがお金に変わり、それが金融市場を通して家計や企業に渡ればヘリコプターマネーとなります。今求められているのはアンチ財務省政策です。

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