相場展望~熊本大震災・4月21日号

相場展望~熊本大震災・4月21日号

日本主催の伊勢志摩サミットをするにあたり、安倍首相は今後の経済運営の指針を経済学の権威を呼び聞きました。3/16にはノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ教授を呼び、3/23にもノーベル経済学賞受賞のクルーグマン教授を呼び意見を聞きました。本来こういう内容は議事録として公表すべきですが、財務省にとっては不都合な事ばかりでしたので、政府が記者会見を通して一部を公表しただけでした。核サミットに出席する為に訪れたワシントンでは、さらにグリーンスパン・ルービン・フェルドスタインと錚々たるメンバーを集め意見を聞きましたが、しかるに今もって、リーマンショックや東日本大震災のような事が起きない限り消費税増税は延期しないというような戯言を繰り返しています。

新聞各紙や個々の識者のインタビュー記事からの要点を掻い摘むと歳出削減と増税をやめるべきであり、需要不足となる愚かな策低金利政策は資本集約型で雇用なき経済回復につながる法人税減税や金融規制緩和は投資を減らす環境税・不動産税・金融取引税によって投資を増やせという内容です。

財務省が主導してきた政策は米国を代表する教授からみると採点はゼロ答案という事になります。消費税を導入した時点でアベノミクスは瓦解してしまいました。今更延期位では外国人の日本株売りに転換した姿勢を変える事もできません。

東日本大震災のような事が起きない限りと繰り返し強調していたら、神様は熊本大震災を起こしました。津波こそないものの、直下型で、家屋の倒壊は多く、9万人以上が避難民となりました。増税延期・凍結表明は早ければ早いほど、人々の消費性向が上向いて良化します。遅ければますます財布の紐を絞める事になるからです。国難は無能なトップの時ほど起きます。

阪神淡路大震災の時は村山富市、東日本大震災の時は菅直人でした。アベノミクスで順調に滑り出した安倍晋三は有能なトップであるはずでした。一人だけでは不安でも、甘利明・麻生太郎との三本の矢で機能していましたが、甘利が欠け、2本の矢となり、財務官僚の間抜けな誘導に消費税増税をしてからは、もはや無能総裁です。経済政策の3本目の矢は消費税凍結・引き下げ以外ないのです。

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