相場展望~裸の王様・3月24日号

相場展望~裸の王様・3月24日号

3/26・27に上海で開かれたG20には実に不思議な会議でした。世界の相場暴落の震源は中国なのに、それを批判する人が誰も現れない、それはまるで中国が会議前に各国に周到に根回しした結果からかもしれません。ドル・ユーロ・円・ポンドに次いでSDR通貨入りした人民元は、完全変動相場制度への移行を拒むだけではなく、勝手に通貨の大幅切り下げをするなどその資格はないと誰も言いませんでした。中国に札束で頬を叩かれている欧州・パンダハガーばかりが幅をきかす米国、日本だけは指摘すべきでした。

中国からの資金流出も止まりません。庶民レベルには外貨持ち出し制限をしき、銀聯カードの上限額も90万にしてしまいました。庶民は海外で保険を買う事によって防衛しようとしましたが、これにも規制がかけられました。いずれ破綻すると思っているからです。しかし共産党幹部の持ち出し制限はかけず、笊です。企業レベルでは人民元の暴落に備え、海外企業の買収がさかんです。中国化工は農薬大手スイスのシンジェンタを430億$で買収ついでタイヤ大手イタリアのピレリを71億ユーロで買収・万達は米国映画会社を35億$で買収・海爾はGEの家電事業を54億$で買収という具合です。

中国の外貨準備高は2015年末で3.33兆$あるとされます393兆円です。しかしアメリカの研究機関ではその多くは借金まで重複してカウントされており、本当にあるのは米国債の1.2兆$しかなく不正に国外へ送金された分は少なくとも1兆$以上はあるとされます。一方対外債務は2014年3月に1500兆円 2015年3月に2100兆円、2016年はおそらく2900兆円、借金の方が多いのです。今後米国債が減った時こそ中国の破綻サインです。全人代での周小川の人民銀総裁の発言もウソの塗り固めばかりでした。

「通貨安戦争を中国は意図していない」(いきなりの切り下げで迷惑)、「焦ってドルを買うべきでない」(売っているだから当たり前)、「一部には対GDP比250%(FTは290%と推定しているが)と言われているが、それなら債務リスクをはかる基準はなになのか」開き直る。「中国から輸出品は競争力があり、為替相場による調整は不要」鉄鋼製品はじめダンピングばかりすれば競争力はあって当たり前、「不動産市場は大きな在庫圧力に直面しているが、中国は広大な国家であり、都市ごとの対応が必要」何もできないから地方に転嫁。

アンデルセンの童話に裸の王様がありますが、詐欺師中国の馬鹿には見えない糸で作る服を借金王中国が着て、皆が素晴らしい服というのとG20はまったく同じです。誰か中国は破綻していると言うべきでした。

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