相場展望~マイナス金利導入・2月11日号

相場展望~マイナス金利導入・2月11日号

リーマンショック後、日銀は政策金利の誘導目標を0.5%から0.3%に引き下げました。それだけではなく、超過準備に「0.1%の金利を付利する」ことを期限付きで初めて導入しました。同じような処置は米国もしており、金融機関の破綻を防ぐ事が目的でした。危機を乗り越えてからも「0.1%付利」は続けられ、貸し出し先のない地銀は、これに安住した面がありました。国債をマイナス金利になるほど投資できたのも付利のおかげでした。「0.1%付利」の為に金融機関が相互に資金を貸借する短期金融市場の金利は、0.1%以下には下げにくくなり、住宅ローン金利の低下を防ぐ原因でもありました。マイナス金利を先行したスウェーデンでは住宅ローンを組むと、金利が逆にもらえるという珍現象も起きました。

日銀はマイナス金利導入を決断しましたが、市中金融機関から預かっているすべての当座預金勘定をマイナスにするのではありません。破綻防止の為に積み立て義務のある分88兆円は金利ゼロ、今まで預かってきた158兆円には0.1%の付利をそのままつけるが、今後新規に預かる分についてはマイナス金利にするというもので、貸し出しを一向に増やそうとしない銀行には有効な手段といえます。日銀の決断後、マーケットは付利に胡坐をかいていた銀行株を売り、不動産やリート株を買ったのは住宅ローン利用が拡大するという思惑からです。

ユーロがマイナス金利を導入して起こった事は貸し出し先がないので、国債投資加速する事でした。最初は安全度が高い、ドイツ国債・米国債投資が進み、さらに運用利益を求めて、スペイン・イタリア・ギリシャの短期債までに手を出すようになりました。日本においては日銀が年80兆円ペースで国債を買い入れていて、後2~3年で市中で買える国債はなくなる状況で、銀行が、日本国債投資をしたくても、しにくい状態となっています。結果として、再度あぶりだされる形で米国債投資が進む事になります。それは米国からの要請があったとしか思えない面があります。株式へのプラスは短期限定的なものになります。

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