相場展望~敗因の99%は自滅
平成26年8月28日号(相場展望~敗因の99%は自滅)
歴史的にみて、年金買いで相場の上昇に成功した例はありません。年金は本来受益者の事を考え、運用益の最大を目指すべきものです。しかるにこれを株価PKOの手段に使うのは邪道です。日本の年金GPIFは125兆円もあり、世界最大です。本来自国の国債などで安定した収益をたたき出し、減らさない事を第一とします。この方針はゼロ金利政策の発動までは守られていましたが、債券の運用利回りよりも、受益者への支払いの方が多くなり、その時点で実質破綻しました。最初に支給年齢を60才から65才へと引き上げ、学生までも支払いをさせる学徒動員を行いました。戦争にしても学徒を動員したら負け戦です。今や株式の運用比率上限を20%にまで高めて、さらにPKO原資にしようとしています。苦しくても絶対にしてはならない事です。株式相場を含め、あらゆる勝負事の敗因の99%は自滅にあります。国のやろうとしている事は自滅です。
5月相場は運用比率の引き上げを見越して、年金の買いがでる信託銀行は5月こそ大幅な買い越しでしたが、組み入れ比率上限に近づいた6月は小幅売り越しとなりました。7月のマレーシア機墜落事故までは、炙りだされた形で外人が買い越しましたが、上場企業は持ち合い株式売りを加速し、企業年金も売り越しとなりました。確定給付の資金を確保の為に売らざるをえなったのです。かつて上場企業の持ち合い株式比率は30%を越えていましたが、今年3月時点では10.5%です。逆に外人の持ち合い株式比率は30%を越えました。企業にとっての保有株式は資産であり、いざという時の財布です。大半の企業は借金返済の為に株式をどんどん圧縮しています。
何が何でも株式を持ち上げたい政府は、NISAの非課税枠を100万から300万に引き上げる事を検討し、子供版NISAを2016年に創設し両親や祖父母が孫や子供名義で投資する事を促す計画です。さらに簡保生命の株式投資比率を1%から3%へと引き上げを画策するという具合に総動員で株高にしようとしています。相場と人為的に無理などしなくても、経済が自然増収ならば、上げていくものです。アベノミクスでせっかく長期株高が約束された時に、消費税を8%にした事が最大の敗因です。経済もある意味では戦いです。敗因の99%は自滅にある、それが消費税増税です。