相場展望~報復のブーメラン

相場展望~報復のブーメラン

平成26年8月21日号(相場展望~報復のブーメラン)

1998年のロシア危機の時、ロシアのマフィアは自国通貨のルーブルの価値がどんどんと下がるので絵画を大量に購入しました。著名絵画は10億円単位で取引されるが常ですが、こういったアングラマネーが入っている為です。ロシアがクリミア半島を併合した為に、欧米は金融制裁や資産凍結をしましたが、の結果オークション市場では落札価格の急低下になりました。ロンドン・ニューヨークのオークションの主要顧客の一つがロシアマネーだったのです。オークション落札価格低下はいずれ、不動産や株式の売却へとつながります。

ロシアからの資金流出額は1~6月だけで7.5兆円にも及びました。ロシアの株やルーブルの下落がさほどでないという事はロシアが欧米の株・債券・不動産をそれだけ売却しているという事です。既にロシアは米国債の相当な量を売却しています。7/16にオバマが発表したロシアへの追加制裁案の、ロシアの兵器・エネルギー産業がアメリカの金融融資を受ける事を禁じるというものは、米国内でも反対続出となりました。アメリカ商工会議所と全米製造業協会は主要新聞に反対広告を出しました。アメリカが制裁しても、ロシアが中国やドイツから融資を受ければ、商売の機会を失うだけです。制裁は一方通行に効く事はなく、必ずブーメランのように自分にも跳ね返ってくるものです。ユーコス事件を蒸し返し、マーレシア機墜落で一番犠牲者を出したオランダは、自国にあるハーグ国際裁判所から、ロシアからユーコスに5兆円を払うように命じました。

ロシアは欧米の経済制裁に対抗する処置として、欧米からの農産物を輸入しないとしました。とりわけ米国からは全量としました。不思議な事に、この制裁対象国に日本は含まれませんでした。これはプーチンの日本への秋波であり、秋に日本訪問を実現して、善隣友好外交を保ちたいというメッセージです。ジャパンハンドラーの代表格アーミテージはロシアがウクライナでさらなる行動を起こした場合は、プーチン訪日を受け入れるべきでないなどと牽制しましたが、この時期を逃したら北方領土問題の解決はされる事はありません。アメリカのポチ外交にならず、独自の全方位外交をすべきです。ロシアはシベリア上空でのイギリス・フランス・ドイツの飛行禁止も検討しています。日本はその対象国にいれるつもりは毛頭ありませんが、安倍首相がどれだけ賢い判断をするかです。

© 株式会社プラザ投資顧問室 1981 All Rights Reserved.