相場展望~危機の引き金

相場展望~危機の引き金

平成26年8月14日号(相場展望~危機の引き金)

5月の一世帯当たりの消費支出は前年同月比で8.0%のマイナスでした。消費税増税直後の4月の4.6%マイナスよりも悪化しました。8%マイナスという数字は東日本大震災直後の8.2%マイナス以来の記録です。今回の増税は景気が十分良くなっていないのに強行した事が失政です。1989年日経の天井打ちの年に3%の消費税が導入されました。この時はまだゆとりがありましたが、1997年橋本内閣の時に3%を5%にした時は、既に景気が下り坂でしたので、1年後に大きな落ち込みとなりました。その時の落ち込みの原因は東南アジア通貨危機やロシア危機と多くのエコノミストはしますが、反対であり、日本が消費税を上げた事が東南アジア通貨危機の原因なのです。

日本のGDPに占める輸出の割合は11%です。日本は貿易立国と言われて久しいですが、実は内需大国なのです。消費税を上げると日本の消費が落ち込み、世界のどこかで歪みが生じるのです。ちなみにドイツのGDPに対する輸出の依存度は34%、韓国に至ると43%です。両国の消費が落ち込んでも世界経済への影響は軽微ですが、日本の場合は大きいのです。内需大国において、円安をプラス要因とするのも過ちです。円安になっても輸出企業の恩恵は知れていて、大半が生産拠点を海外に移していますので、むしろ石油や食品価格が下がるほどよい円高の方が、日本の消費者には望ましいのです。

今回、日本は消費税を5%から8%にしました。どの国の金融危機の引き金を引くかというと、それは中国です。デフレの日本は、安価な中国産に依存してきましたが、期限切れ鳥肉問題で中国への不信感は増幅し、スーパーでは中国産と裏に表示されていると手を引っ込める人々が増えました。鰻のかば焼きにしても、異常な安値は、食品安全度と反比例します。反日を標榜する中国の食品には毒さえ入っているかもしれないと人々は思いだしました。

日本のマスコミは真実をなかなか伝えようとしませんし、本来率先すべき中国産を買わない運動を論説で書こうともしませんが、既に庶民レベルでは、チャイナフリーが静かに始まっています。なかなか崩壊しない中国不動産バブルの引き金は間違いなく日本が引くのです。安倍首相がそこまで深謀遠慮で、消費税を引き上げたのなら、我慢もできるというものです。

© 株式会社プラザ投資顧問室 1981 All Rights Reserved.