相場展望~ジャンク債ブーム

相場展望~ジャンク債ブーム

平成26年7月17日号(相場展望~ジャンク債ブーム)

映画『ウォール街』の題材にもなった話題の人物、ドレクセル・バーナム・ランベール証券の常務であったマイケル・ミルケンは大学で、格付けは低いが高利回りの債券であるジャンク債の研究をし、アメリカにジャンク債マーケットを創設し、国力の源とまで呼ばれました。全米最高の600億円の年収を誇りましたが、アイバン・ボースキーと共にインサイダー取引で投獄されました。ジャンク債は日頃は格付けが低い事から高利回りですが、異常な低金利相場が続くと、金余りから格付けの高い商品との利回り格差が縮小し、初期にジャンク債投資をしたものは濡れ手に粟の恩恵を受けます。リーマンショックの元を辿ると、ジャンク債であるサブプライム投資を過度に進めた事にあります。高格付けのプライム債とサブプライム債をパッケージにして販売した事が世界的混乱につながりました。

最近の米国債券市場は空前の金余りを背景にして、ジャンク債であるハイイールド債が人気化し、米国10年国債との利回り差がついに2.5%になりました。となみにアメリカでは、東電社債もソニー債もジャンク債扱いです。中国企業関連の社債は大半がジャンク債ですが、それでも人気があるのは同業種のアメリカ企業の債券と比べて1.2%も利回りが高い点です。

理財商品は中国版のジャンク債です。いかにも大手中国銀行の保証がついている装い発行している点が悪質です。最近は地方政府が発行した理財商品の破綻を容認する傾向にあり、線引きの難しさから中国版のリーマンショックがいつ起きてもおかしくありません。

ECBが銀行が融資しなければペナルティとしてマイナス金利を設定した事もユーロにおけるジャンク債投資を加速させました。ギリシャ・ポルトガル・スペインなどの国債はソブリンジャンク債です。しかるにスペイン10年国債の利回りが米国10年国債の利回りよりも一時下になる異常事態となりました。一カ月もたたないうちに、ポルトガルの大手銀行の経営不安から、ソブリンジャンク債は急落しました。米国・中国・欧州と世界的にジャンク債が幅を利かせている現状は長続きはけっしてしません。

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