相場展望~金利引き下げ競争の罠

相場展望~金利引き下げ競争の罠

平成26年6月19日号(相場展望~金利引き下げ競争の罠)

世界は金利引き下げ競争と法人税引き下げ競争をしています。アイルランドは低い法人税でアップルなどの大手企業を呼び込み、財政を立て直してしまいました。日本も遅ればせながら法人税を引き下げ企業誘致方針を打ち出しました。それは国内景気を良くするよりも、諸外国との対抗上の意味合いからです。アメリカの投資銀行の大半は非課税地に本社を置き、まともに税金を納めた事がありません。さすがに真面に税金を納めるべきだという意見も多くなりましたが、これに従う所はありません。

かつて白川日銀総裁は、日本の景気が悪く、デフレに陥っているのはアメリカの行き過ぎた金融緩和のQEに起因があり、非伝統的な金融政策が行われた時は、それ以外の国は景気が悪くなるので、日本もQEをすべきだと主張しました。その後ECBも無限に近いQEをやり、黒田日銀総裁になってようやく、日本もQEをしました。先駆してQEをしたアメリカは正常化の為にQEを縮小する方針を打ち出していますが、日欧がQEを続ける限りアメリカだけがQEを縮少した場合は、いくら景気をよくしようとしてもできません。

地下鉄はどこから入るのか考えると夜も眠れなくなるというネクで一世を風靡した三球・照代の、もう一つのネタに、昔はバスには車掌さんと運転手さんがいて100円だったのに、運転手さんだけのワンマンバスになって200円に運賃がなった。そのうちバス停に並んでいるだけで400円を取られるようになるというものがありましたが、ECBは域内の各国中央銀行に預ける余剰資金の金利をマイナス1%にする決定をしました。日本の場合は余剰資金は日銀の当座に預けるだけで0.1%の金利を貰えますが、融資に回さなければ懲罰金利を取るという脅しです。米国債が2.5%を割る原動力となったのはユーロ圏の買いであると判明していますが、ますますこの動きを加速せざるをえません。なぜなら、日本の地銀同様に、ユーロ圏内は不況で貸し出す企業がないからです。マイナス金利導入を読み取って米国債投資をしていたユーロ圏内の銀行は、いざマイナス導入が発表となるやスペイン10年国債2.57bpまで買い上げ、米国債2.62bpとの逆転現象を作りました。イクリア国債も2.7lbpです。米国債は基軸通貨ゆえに買われるのは当然ですが、スペイン国債の買い上げは明らかに市場が間違っています。いや間違っているのはドラギの政策です。

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