相場展望~アメリカの凋落

相場展望~アメリカの凋落

平成26年4月24日号(相場展望~アメリカの凋落)

日本・イスラエル・イギリスのそれぞれの頭文字をとったJIBsという造語が作られたのは一昨年の暮れの事でした。共に親米国家ですが、アメリカの国力の低下によって、国防の独立性を高めざるをえず、その行動がともすればアメリカを困らすとも言われています。米ソ冷戦に勝利し、一極大国となったアメリカは同盟国であるはずのNO2の国々に大変冷淡となりました。これは天下をとった者が、自分を脅かす腹心たちを寒地に追いやる行為と似ています。外部との闘争が内に向けられるのは戦国の常です。

度を越した同盟国への冷淡ぶりに、同盟国の反抗が始まりました。サウジアラビアは国連の非常任理事国入りを拒否、イスラエルは単独で、安全保障を脅かす、イランやシリアを攻撃すると言い出しました。トルコもシリア国境に戦車隊を並べています。

日本は一気に倍以上の円高にするプラザ合意にも耐え、理不尽なアメリカ国内での日本企業の巨額賠償訴訟も受け入れ、国内製造業の空洞化と反日国家中国への工場移転にも従ってきましたが、TPPという馬鹿にした不平等通商交渉に、ついに昼行灯を装う限界に達しました。明らかに宗教・文化への内政干渉である靖国参拝に、アメリカまでもが失望したと表明するのは大間違いです。今や最大の日米にとっての敵対国家である中国の肩を持ち、同盟国の日本を批判する馬鹿の度合いも度が過ぎます。

オバマのアジア歴訪で選ばれた国は日本・マレーシア・フィリピンでした。自国がオミットされたと思った韓国がそこに割り込みましたが、当初のアメリカの意図は東シナ海・南シナ海での中国封じ込めと、TPP交渉のスムーズな妥結にありました。マレーシアはTPP交渉内容を国民に事前に明らかにすると宣言、日本も食料自給率維持の為に農業分野の妥協は許さないという事情があります。ペリーが来航して不平等条約を押し付けるそんな時代では、もはやありません。日本は東日本大震災の傷がまだ癒えず、フィリピンも11月に襲った巨大台風の傷跡が残ったままです。選ばれた残った国には、まるで疫病神につかれたような大惨事が続きます。マレーシア航空事故は今なお行方不明のまま、韓国は修学旅行生を乗せた客船が沈没、発生から1週間たっても行方不明者が大半です。オバマはこれらの国々に、どんな顔をして歴訪するのでしょうか、それはアメリカという国の凋落が、ウクライナでのロシアの優位が明らかになった事と軌を一にしています。

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