相場展望~自立なき市場
平成26年4月17日号(相場展望~自立なき市場)
リーマンショックは資本主義を崩壊しかねない出来事であり、以降マーケットは国家の手助けなしではやっていけなくなりました。アメリカは資金供給量をQE1QE2QE3を通して4倍にも増やし、株価PKOを繰り返してきました。ECBも期限付ながら本来買えないような、ジャンク国債や住宅ローン債権を担保に融資をほぼ無限にしました。遅ればせながら、日本も黒田体制になってから資金供給量を急増させました。株価上昇が行き詰まると、各中央銀行が何かしてくれるに違いないという甘えが市場に蔓延しています。QEを縮小させて正常な状態に戻すと発言しただけで市場は大騒ぎとなり、さらなる追加緩和策は今は考えていないと黒田総裁が言っただけで過度な円高へと振れます。
少しでも自国へ企業を呼び込こむべく法人税引き下げ競争が行われ、租税回避地や低い法人税国を使ったグローバル企業への課税ルールが検討されるようになっています。昨年15兆円も日本株を買った外国人投資家が今年に入り3兆円近くも売っているは、世界の流れに逆行して消費税増税を行った為ですが、売国マスコミを使って、それをアルゼンチン危機再来とか、NY株の下落の為と嘘をつきます。アメリカも株価が下落する本質はQEの縮小にあるのに、それをウクライナ問題へと転化します。国家が市場を助け続けてきたのに、その逆の行動を取る事を投資家に知られたくない為です。
ユーロがリーマンショック前の143円を回復するのは明らかに過大評価です。フラジャイルと呼ばれるブラジル・インドネシア・トルコ・南アが通貨不安になると、その逃避資金が流れた先が、ポルトガル・イタリア・ギリシャ・スペインでした。もはや笑い話です。マーケットは正常な判断力さえ、失っている象徴といえます。過度に供給された資金が微妙な安全度を読み取り、高利回りを追求する事によってこのような事が起きます。
世界の株高は大変脆弱な微妙な均衡の上に成り立っています。それは積み木の一部を抜き取っては上に高く積んで行くジェンガ(Jenga)というゲームによく似ています。抜き取る位置を間違えるとたちまち一気に崩壊します。