相場展望~超高層ビルの呪い
平成26年4月10日号(相場展望~超高層ビルの呪い)
超高層ビルの呪いという歴史的ジンクスがあります。天にも届くようなビルや塔を作るとバブルが破裂し、株価大暴落へとつながります。私はかつて、それはバベルの塔でなく、バブルの塔であり、天にも届かんとする奢りが、神の怒りを買うからであるという解説をした事がありました。神は謙虚な人間が好きであり、この世に私たちがあるのは、神に生かされているという認識が必要で、自分が神と思う奢りには罰を与えます。
古くはクライスラービルに対抗心を燃やし、当時世界一の高さ443mを達成したエンパイヤ・ステート・ビルがよく引き合いに出されます。着工は世界恐慌の起きる年1929年で、1931年に竣工しました。訪れた大不況で、オフィスの大半は1940年まで空室が続き、エンプティ(空)・ステート・ビルディングと揶揄されました。これを抜いたのが同時テロで崩壊したワールド・トレーディング・センター528mで1972年に竣工しましたが、泥沼化するベトナム戦争で、アメリカは初めて自信を失った時でもありました。1972年はニフティフィフティと言われた50銘柄の優良株の上昇相場が終焉した年でした。
2000年以降も超高層ビルの呪いのジンクスは生きていました。2009年11月に起きたドバイショックの翌年1月に828mのブルジェ・ドバイが完成しています。2008年7/14に着工され、2012年2/29に竣工した634mのスカイツリーも例外ではありません。日本のバブルは既に破裂し壊れようがないほどでしたが、それが2011年3/11の東日本大震災のきっかけとなったかもしれません。ワールド・トレーディングセンターの跡地には懲りもせずに超高層ビルが建てられました。そしてアメリカに対抗心を燃やし、それ以上の超高層ビルを建てようとしている国が中国です。2015年に竣工予定の上海センターの高さは632mとなる予定です。
ドバイ・ショックは一度、保証はしないと公言しながら、結局イスラム債で贖われました。中国は300兆円もある理財商品のすべての保証はしないと李克強首相は公言をし、そのうち半数近くを発効した、中国工商銀行・農業銀行・建設銀行・中国銀行は元本保証のない理財商品の45兆円分は投融資先が破綻しても支払い保証はしないと公言しました。中国人は夜逃げが得意な民族ですから、このような結末は十分予想できましたが、このままでは不動産会社の大半は破綻をし、銀行も無傷でいれるはずがありません。ドバイの数倍の規模のショックが起きようとしています。