相場展望~ウクライナ

相場展望~ウクライナ

平成26年3月6日号(相場展望~ウクライナ)

世界の三大穀倉地帯は土が肥沃で、『チェルノーゼム」(ウクライナ~カザフステッブ),「パンパ土」(アルゼンチン乾燥パンパ)、『ブレーリー土』(グレートブレーンズ~プレーリー、アメリカ)です。ウクライナにしてもアルゼンチンにしてももっと豊かな国家であるべきなのにアルゼンチンはデフォルトを起こし、ウクライナも対外債務を1400億ドルもかかえます。ウクライナはロシアに払うべき天然ガスの代金をまともに払えずに、ロシアは宗主国として実質天然ガス代金の支払い帳消しという手法で援助を続けていました。アメリカの息のかかったIMFは2008年に緊急融資として106億ドル、2010年にも151億ドルを約束しましたが2010年分は半分も履行されていません。

ウクライナに西側政権が誕生した事から、ロシアからの150億ドル分の帳消しはなくなりました。ユーロが決議したウクライナヘの支援分はその額と一致します。ロシアへの支払いを気遣った額です。ユーロはロシアを制裁するなどと勇ましい事を言っても、天然ガスの1/3の供給をロシアに頼るドイツなどは天然ガスをこの寒波の中で、止められたら何も言えません。フランスもロシアに売却予定の揚陸艦をそのまま引き渡すとしています。

西側は平和の祭典と言われるオリンピック期間を利用して、旧ソ連領に政変を仕掛けます。2008年の北京オリンピックの時は、グルジア紛争を起こし、南オセチアとアプハジアの二国の独立を勝ち取りました。今回はウクライナです。ウクライナはクリミア半島を含む東側は親ロシア地帯で、西側はNATOに接近したい親欧米地帯です。西ウクライナの独立を仕掛ける際にネックとなるのはキエフ原子カ研究所です。チェルノブイリ原発事故地も近く、ここはロシアの核利権の中心であり、それを侵す事はできません。

ロシア人を守るために毅然とクリミア半島に介入をしたロシアと対照的にオバマ大統領はまたしても無能さをさらけ出しました。アメリカが世界の警察を放棄してから、シリア・タイ・ウクライナそしてアゼルバイジャンでも内戦が起きています。この流れはいずれ朝鮮半島でも起こると懸念しています。かつてクリミア戦争の時、日本はロシアとの有利な交渉をしました。今回こそ、北方領土を交渉する好機です。

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