相場展望~金の不正取引

相場展望~金の不正取引

平成26年2月13日号(相場展望~金の不正取引)

ロンドン金価格はリーマンショック後、ユーロ危機も手伝い1895$まで上昇しました。私はその時、金価格の上昇を一人だけ喜ばない国があるとすれば、アメリカであると指摘しました。アメリカは国内の金融機関の為に金を貸し出し、金融機関はその金を売って資金調達したので、自分たちの売った水準よりはるかに上昇すると、いざ買い戻ししたくても、困惑すると考えたからです。この事は単なる噂でなかった証拠に、ドイツの金融庁長官ケーニヒがLIBOR以上の不正が金相場において行われたと指摘した事で明らかになりました。アメリカの連銀は24時間取引をするグローベックス市場で、ほとんど対抗する買い手のいないNY時間の午前2時半などを狙って、大量の空売りをして値を下げた事が明らかになりました。この作戦に協力したのはJPモルガン・モルガンスタンレーであり、最近は両方共に、在庫の極端な減少から金の現物取引を行っていません。

ドイツのこの指摘を受けて、以前ポルシェがフォルクス・ワーゲンに出資比率を75%まで引き上げる計画を発表し、フォルクス・ワーゲン株を空売りしてた米系ヘッジ・ファンドが2470億の巨額損失を被った件を蒸し返して、株価操作で大損を被ったとして、フォルクス・ワーゲン首脳などを相手取った損害賠償訴訟を5年もたったのにフランクルト地裁に提訴しました。5年前はまさに、アメリカが金の貸し出しをした時期であり、アメリカとしては、両方を不問に付す、司法取引をする腹なのでしょう。

2008年から2009年にかけての金相場の足をみますと、1011~712$までリーマンショックで下落した後に、何度も1011$抜きを試みますが、米系金融機関の売りに三角持ち合いとなります。すなわち米系金融機関の売りは1011$以下が大半であり、その後の上昇局面で一度も買い戻しのチャンスはありませんでした。1895$からの下値はFRBの必死の売りたたきに拘わらず1192$が今の所下値です。需給面でみますと、ソロスやポールソンなどのファンドの売りは一巡、年間280t新規供給分のうち100tは中国、100tはインドが自国通貨への不安も手伝って、実需で取得しています。下値はアメリカの思惑通りの1011$割れは難しいと考えるべきで、不正操作事件が明るみに出る頃には、急騰に転じていると私は考えます。

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