相場展望~FRB議長の試練

相場展望~FRB議長の試練

平成26年1月23日号(相場展望~FRB議長の試練)

FRB議長に史上初めての女性議長が誕生します。ジャネット・イエレンは夫も著名な経済学者で、彼女も天才といえます。グリーンスパン・バーナンキいずれも天才でした。FRB議長に就任すると1年もたたないうちに大きな試練を味わうというのが通則です。グリースバンは就任後、まもなくブラックマンデーを経験しました。バーナンキは就任後7ケ月目にリーマンショックを食らいました。いずれも見事な手綱さばきで、危機を乗り切りました。なぜFRB議長が代わると、市場の洗礼を受けなければならないのかは、前任者が様々な危機を乗り切る為にかなり無理をした政策運営をし、異常に緩和状態を作るというパブルを作り出している為です。

ITバブルが破裂し、さらに同時テロ事件が追い討ちをかけると、人々が外出を控え、巣籠もり景気となると、住宅取得補助政策をする。その結果行き過ぎた住宅取得がサブプライム債で演出され、さらに、サブプライム危機を元に、リーマンショックが起きると、実質ゼロ金利政策を導入します。さらに国債・住宅ローン担保証券の買い取りをするという具合に、バブルの処理の為にさらにバブルを作り出しています。

バーナンキは1929年世界大恐慌研究の第一人者でした。ゆえに躊躇する事なく、資産買取という中央銀行の常軌を逸した手段を取れました。イエレンは失業問題のエキスパートとされます。バーナンキでも解決できなかった失業問題の解決を金融政策を司る事が基本のFRBがなしえるのか、という疑問も生じます。イエレンは初めての公聴会での声明文で、QE3を縮小するのも、しないのも両方ともリスクがあると言いました。株価下落という痛みを伴う、明確な縮小という言葉はバーナンキからもイエレンのロからも中々出てこないでしよう。資産買い取り規模を850億$から750億$にするのが精一杯なのです。

10月の雇用統計は休職自宅待機の職員数まで数に入れて、20万人増加とする一方で、失業率にはその数を入れるというマジックを使いました。失業率の発表まで株価下落を促さない工夫がされています。アメリカの労働世代のうち1100万人が正式な失業者、9100万人は職がないのに職を見つける事をあきらめたり、パートタイムの薄給に甘んじている人々です。4970万人はフードスタンブに依存しています。不況下の株高の恩恵は当然ながら、これらの人々にはありません。

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