官僚の暴走 7/30号
相場展望~官僚の暴走 7/30号
アメリカにおいては二大政党である民主党と共和党の政権が替わる度に、政権スタッフは上の方だけでなく、そうとう下の方まで大幅に入れ替えが行われます。日本においては左翼民主党政権と右翼自民党政権は真逆なのに、財務省も外務省も次官クラスまでは政権に関係なく、そのままです。多くは失職する事はなく、まるで県庁・市役所の職員のように粛々と仕事をこなします。そして時として、越権行為をして、新任大臣にレクチャーをするほどです。
2500億円もする異常な国立競技場をごり押しで作ろうとしたのは、ゼネコンから億単位のキックバック目当ての政治家いるだけでなく、一度決まると、継続の為の自己弁護をする官僚組織に原因があります。民主党政権の時、ダムは無駄とばかりに、八ツ場(やんば)ダムの建設中止に一時、動きましたが、作りかけているものは止められないという官僚の説明にごり押しされ、今もなお建設中です。当初2000億で2015年にはできるはずであったものが8000億の巨額費用に膨れ上がり、2020年に完成の時期もづれこんでいます。
ロンドン五輪にしても、北京五輪にしても競技場は500~800億で作られました。奇抜なイラクの女性デザイナーに13億ものデザイナー料金を支払い、関西のアホ建築家が推奨をして、俺は知らんと主張する。五輪相も文部科学相も建設を止める権限もなく、一人歩きするのは、すべては官僚組織という癌細胞がなせるからです。国際連盟を脱退して、日独伊三国同盟に走り、太平洋戦争に突入したのは、東条英機だけの責任でなく、陸軍省・海軍省の参謀本部の暴走です。戦後知識人の一部に戦争に負けたのは一校東大の為だと言わしめたのは、まさに官僚の暴走を嗅ぎ取ったからです。
消費税増税にしても、民意とは正反対に決まりました。野田も谷垣も財務大臣として、官僚のレクチャーを鵜呑みにしてしまった結果です。国立競技場建設は安部首相の英断で白紙に戻せましたが、官僚組織に歯止めをかける法律を作らない限り、同じような事はいくらでも起きましょう。