原油安危機・11/19号

原油安危機・11/19号

(相場展望~原油安危機) 2015年(平成27年)11月19日号

石油・鉄鉱石・天然ガスなど資源をたくさん持っていた国家は、かつて羨望の的でした。何の努力もなしに、輸出をすればいくらでもお金を稼げました。しかし資源を爆買いしていた中国の景気が大減速となり、資源はあまり気味になり、価格はどんどんと低下しました。マレーシアは石油・天然ガスの産出する国ですが、株価も急落、その買い支えに5600億を使うと発表しました。資源国オーストラリアも資源安で国内雇用情勢が悪化、親日家のアボット首相は退陣しました。

石油を主な国家収入にしている中東諸国・ロシア・ベネズエラはすべて財政が悪化しましたが、2009~2013年に世界の鉱区を買い漁った中国も困窮しています。ベネズエラ・南スーダン・ナイジェリア・アンゴラ・リビア・カナダに投資しました。南スーダンやリビアでは政変に巻き込まれて頓挫しましたが、カナダがあるから大丈夫と思っていたようです。そのカナダで買収したネクセン石油とオイルサンドのデライト社が重荷になっています。カナダは安全保障上から中国から派遣されてくる人間は役員だけにしぼり、労働者にビザを発給しなくなりました。カナダ人の技術者の労賃は高く、もはやコストにあわなくなりました。
カナダは原油高の時にオイルサンドの恩恵を受けていました。昨年はGDPが4.2%プラスでしたが、今年は半期が終わった時点で7.9%マイナスとなり、カナダドルも11%の急落となりました。
シェールガスもオイルサンドも楽に掘れたところの開発は終わり、今は採掘コストが跳ね上がっています。開発費用の大半は借金であり、貸した方の金融機関などがリスクを低下させる為に債権デリバティブとして売っています。今後開発業者や鉱区保有者の破綻が起きると負の連鎖暴落を引き起こす事になります。

 

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