相場展望~一人っ子政策・12/10号
相場展望~一人っ子政策 2015年(平成27年)12月10日号
幾何学的人口増加を抑えようとして1979年に始まった中国の一人っ子政策は様々な弊害を産む事になりました。1人っ子政策に違反し2人目を産んだ場合に支払う社会扶養費は最低でも8万400人民元、最高額は42万1500人民元(約700万円)に上りました。年収の3倍から6倍にもなるような罰金は払えませんので戸籍上では夫婦一組に対し一人しか持たないとしても、密かに産んだ子供が戸籍外で生まれ、成長しました。こうして生まれた子供達は「黒孩子」(ヘイハイズ)と呼ばれ、国民として認めらず、学校教育や医療などの行政サービスを受けることができませんでした。その数は中国政府が認めただけで1300万人もいます。ポルトガル一国の人口に匹敵し、東京都よりも多い数です。
農村では一人っ子政策実施以降、男子の誕生を願う傾向が強化され、胎児が女子であることが分かると中絶することも多く、人口統計でも男子の誕生割合が他国に比して極めて高くなりました。
結果として、高齢化社会が進み、男女人口比率が極端に偏る人口形成となりました。このままでは国の活力をそぐと懸念し、10/29にようやくすべての夫婦に2人目の子供を産むことを認め、またヘイハイズも社会的地位を認める事になりました。今の中国はデフレが進んでおり、復権を認められても、就職先は簡単に見つかりません。また二人目を認められても生活苦から増やそうとする人は多くはありません。また豊かであっても三人目ができれば、また罰金やヘイハイズが増えるだけです。
歴史人口学の権威、エマニュエル・トッドは一人っ子政策の歪みで、中国の将来は大変暗いと指摘していましたが、政策の変更が36年間もされなかったのはもはや遅きに失したといえます。
一人っ子政策を採用していない日本ですら、頭でっかちの人口構成となっていて、老人へ過保護・若者へ社会負担増大という事が問題となっています。国政への意見も若者の意見が反映されにくくなっています。