相場展望~孤立主義とTPP・1月14日号

相場展望~孤立主義とTPP・1月14日号

日本は四方を海に囲まれた島国です。地政学ではイギリス同様に海洋国家に分類されます。アメリカは広大ですが、太平洋・大西洋・北極海・メキシコ湾に囲まれた海洋国家となります。海洋国家は国を守るために時として鎖国政策をします。アメリカの鎖国政策はモンロー主義・孤立主義と呼ばれました。現代のアメリカは欧州の混乱やイスラム国にできれば巻き込まれたくないと考えていて、世界の警察官を辞めたと言った時から孤立主義です。その方向を一層強めそうなのが、当初本命視されなかったのに共和党で、支持率トップを続けるトランプ氏です。トランプ氏はカリフォルニア州で起きた銃乱射事件を受けて、イスラム教徒の米国への全面入国禁止を訴えました。全米50州中、31州の知事はシリア難民の受け入れ拒否を表明していますが、30州は共和党の知事です。トランプ氏は以前にも治安を乱す事が多い、メキシコからの移民を、レイプ事件関与が多いと非難し、追い出すべきと発言して問題視されましたが、これらはアメリカ人の多くが心で思っていても口に出さなかった本音でもあります。

環太平洋の経済共同体を目指すTPPは、アメリカの孤立主義と相いれないものと考えられそうですが、海洋国家にとって海の利権を脅かすものは敵であり、全力でそれを排除しようとします。太平洋戦争はアメリカの目からみると戦艦大和を持ち、強大になった日本という海洋国家との闘いという事になります。TPPは太平洋を米中二国で分割統治しましょうという、就け上がった提案をした、中国を排除するという目的進められ、ここに日本が参加した事でより強固な共同体となりました。

中国は遼寧に続く、二隻目の空母を建造しようとしていますが、海軍においては、長い歴史とノウハウを持つ日米の足元には当分及びません。海を封鎖されたと思った中国が南沙諸島に人工島を強硬に造り、滑走路を設置しても標的になるだけです。一帯一路(シルクロード構想)は大陸国家・中国が戦略的にとるべき有効手段です。ただ中国が内陸の道を確保するまでは海洋国家の攻撃は受けませんが、ギリシャやトルコの港湾利権を既に取得しているので、海に道が通じた時に争いは避けられません。

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